日本の国土の67%、約3分の2が森林です。日本人が使う木材を十分に賄えるだけの木材のストックがあります。しかし、木材の自給率は40%ほど。大量の木材を輸入している状態です。主に価格の問題から国産材より輸入材が選ばれています。
輸入される木材には、大きく分けて3種類あります。
まずは北米・ニュージーランドなどで大規模で効率的に林業から生み出される低価格な木材。これらは環境に考慮した方法で生産されていて盗伐された木材が混じる心配もほとんどないです。しかし、これらの木材の殆どは湿気の少ないカラッとした気候に相応しい木材で、日本の多湿な環境では長持ちせず腐りやすいものが多いのであまりオススメ出来ません。
次に途上国との経済格差を利用して、いわばお金の力によって低価格で輸入される木材。これらが最も安価でベニヤや合板などに多く使われることが多いです。これらはどのように伐採されているかも定かでなく、また伐採された後に適切な植林が行われることも担保されず、盗伐された木材が混入している懸念もあります。最近ですと、東京オリンピックの工事にインドネシアの伐採禁止地域の木材が使われていたことが問題になりました。ただただお金のために野放図に伐って売られていくので無法地帯です。また、日本の社寺に多く使われた台湾ヒノキやアフリカのアフリカ欅などの多くの樹種が乱伐されたため現在では伐採禁止の処置がされています。社寺建築というと日本の伝統の守り手のようなイメージがありますが、こうして海外の資源を無反省に食い潰してきたという側面もあります。
最後は北米のブラックウォルナットやアメリカンチェリー、ロシア産のタモなど、一部のブランド化された高級材です。これらは、材のブランド性に頼ったあまり創意工夫をしないもの作りによく使われます。いわゆる家具「作家」が好みます。これらのパッと見で目を引きやすい木材の特徴は、とかく飽きがきやすいということです。お店やショールームでは輝いて見えますが、日々の暮らしに長年寄り添うかというと「?」であります。
ここまで書いてくると、ほぼほぼ輸入材を使う意味がないのでありますが、もう一つ付け加えておきますと、輸入材を使う・買うと結局そのお金は商社などのグローバル企業や外国に流れてしまうという問題です。国産材を使うと、日本の林業界や材木業者にお金が回りますので身近な地域や大きくは国が潤い国土の保全に役立ちます。植林された山は定期的な手入れが必要です。国産材が使用されない、価格が下がったことにより山の手入れの費用が賄えなくなっています。近年の土砂崩れなどの災害現場の映像などを見ますと手入れのされていない人工林が殆どです。国産材を使うことで大げさなようですが自分たちの暮らしを守ることが出来ます。
これらの理由から、一貫して国産材のみ使用することにしています。